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竹林崇先生のコラム

療法士として1年目をどう過ごすか 

UPDATE - 2020.11.30

 

 

■目次

1. 入職から数ヶ月は環境への順応が大切
2. 仕事に慣れてきた後どのように過ごしていくか
3. 自己研鑽の方法とは?

 

 

1. 入職から数ヶ月は環境への順応が大切

 4年間の大学生活は,アルバイトや変則的な学校の授業,長期にわたる臨床実習など、社会経験となる部分は多かったはずです。しかしながら、多くの社会経験が非常に特殊な形態であるのが大学生活です。例えば、社会との繋がりで多くのアルバイトを大学生は実施します。アルバイトの定義は『学業や本業の傍ら、収入を得るために仕事をすること』とされており、生活するための主となる収入は他の部分に依存している人が多いのではないだろうか(もちろん、奨学金とアルバイト収入のみで学業、生活を送っている人も多くいることは認識している)。

 そういった生活から1日8時間の勤労にて、自分が生きていくための全収入を稼ぐ生活に入っていく。そのギャップに戸惑う療法士も多いのではなかろうか。また、医療職系の大学生は4年生終了時に免許取得のための国家試験を控えている者が大多数であり、その準備の勉強のため、生活リズムも夜型に大きく変異している者も少なからずいる。こういった状況の中、社会生活の中に入っていくのだから、それ相応の適応時間が必要である。さて、昨今の入職から3ヶ月程度の職業形態はどのようなものだろうか。

 療法士の人員が不足していた数十年前では、免許取得の知らせが厚生労働省から通知された瞬間から、対象者を一人で担当させる病院や施設も少なからず存在していた。かく言う筆者もその一人で、通知のあった翌日より単位請求を実施し、個別の担当患者さんを割り付けられたのを覚えている(重症度や疾患における配慮は十分になされた状況で)。その点、昨今の病院では、療法士数の充足もあり、研修期間と名打ち、共観や単位制限などが敷かれる施設も増えてきており、安全管理上非常に過去に比べると良い傾向だと言える。

 

 

2. 仕事に慣れてきた後どのように過ごしていくか

 さて、7月1日を研修期間の終了と位置付けている病院は多いと思う。その中で、自身に割り当てられる患者さんに対し、どのように向かい合うか、ここで療法士としての振る舞いや生き方が大きく変わってくると思われます。一方は、療法士の仕事を時間内のみ、と割り切り、時間内は患者さんにしっかりと向き合うものの、アプローチに必要な知識や技術についての補填を時間外にて行わない生き方、もう一方は、時間内はもちろんのこと、患者さんへのアプローチに必要な知識や技術について、時間外の自分の時間も利用して研鑽に励む生き方、この2つの生き方に大別されると思われます。

 どちらが正しいか、これは答えのない非常に難しい問題である。労働基準法では病院等が36協定を結び、『特別条項付き協定』を追加していない場合、週40時間の法定内労働時間に加え月45時間、年360時間までの残業が認められています。この中に、一般臨床にて患者さんに価値を提供するための知識・技術の研鑽時間を導入している病院・施設は限られています(昨今、若手管理職の努力により時間内の研鑽時間を確保する施設も増えて生きている印象)。従って、業務内の研鑽だけでは、患者さんへの十分な価値を提供するためには、圧倒的な時間の不足が予想されます。一方で、理学療法・作業療法ガイドラインにも『自己研鑽はもとより、関連する分野に対する知識や現在の医療に対する問題にはいつも注意を払い、情報を収集し分析することによって、その時代にあって一番良い治療のために、医療技術の研鑽義務が課されている』とあります。よって、できれば業務内外の研鑽を眼前の患者さん、および将来の自身の価値創造のための投資として実施すべきかと筆者は考えています。

 

 

3. 自己研鑽の方法とは?

 1年目の自己研鑽を実施していく際に、『効率性』『即効性』『継続性』これらがキーワードとして上がると筆者は考えています。効率性は1度実施した事を二度、三度と実施しなくても良いように記憶に残す事、即効性は眼前の患者さんの価値提供につながるもの、継続性は無理なく自己研鑽が継続できる事、指しています。これらを満たす手法として、眼前の患者さんの経過を言語化してまとめる『事例報告』が挙げられると思います。この手法は、実際場面では、無意識になんとなくやってしまっているアプローチの根拠や効果のメカニズム、そして、限界等を実際の体験に絡めて、患者さんの利益につながるように言語化をする手続きです。言語化ができるということは、次回再現できる可能性を大きく高めてくれますし、患者さんの病態や経過に絡めて、昨今の最新の医療知識も学ぶことができます。このように実際の状況に準じて学んでいくことにより、知識・技術の定着が図れる良好な手段だと思っています。是非、1年目の方は業務に、社会に慣れたタイミングから継続してみてください。

 

 

■引用文献

一般社団法人日本作業療法士協会:作業療法ガイドライン,2012,https://www.jaot.or.jp/files/page/wp-content/uploads/2010/08/OTguideline-2012.pdf (2020年11月5日現在)
公益社団法人日本理学療法士協会:http://www.japanpt.or.jp/upload/japanpt/obj/files/about/031-0422.pdf (2020年11月5日現在)

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