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竹林崇先生のコラム

Constraint-induced movement therapyにおける活動量計の可能性

UPDATE - 2020.7.29

■抄録

Constraint-induced movement therapyにおいて,麻痺手の使用行動の変容は最も高い関心事項である.ただし,多くの研究では,麻痺手の活動量を主観的なアウトカムで測定している.近年,活動量計を用いた検討も多く出現している.本稿では,これらの可能性について解説する.

 

 

■目次

1.Constraint-induced movement therapyにおけるアウトカムとしての活動量計
2.活動量計はCI療法の介入効果に影響を与えるか?

 

 

1. Constraint-induced movement therapyにおけるアウトカムとしての活動量計

 脳卒中後の上肢麻痺に対するアプローチの一つとしてConstraint-induced movement therapy(CI療法)がある.CI療法の最も重要としている部分は,麻痺手の機能改善というよりも,実生活における麻痺手の使用行動の変容である.従って,麻痺手の使用行動の変化を正確に測定することが求められる.現在,脳卒中後上肢麻痺を呈した対象者の麻痺手の使用行動を測定するアウトカムとして,世界中で汎用されているのがMotor Activity Log(MAL)である.MALはTaubやUswatteによって開発された,妥当性信頼性が確保された評価法である.日本語版は高橋らによって正確なダブルトランスレーションという手法を用いて,発行されている.この評価は,麻痺手の使用頻度と使いやすさについて,患者の主観を用いて評価するアウトカムである.しかし,主観を用いるといった観点から,その評価結果の妥当性・信頼性については,疑義が常にあった.また,失語症や記憶障害,小児に対するリハビリテーションなど,コミュニケーションに問題がある対象者に対しては,主観評価はアウトカムとして機能しないと考えられていた.

 

 これらの疑義に対して,Uswatteらは,MALで示された使用頻度の値と活動量計の結果を比較し,相関係数において,強い関係を認めたと報告した.本邦では,花田らが回復期の脳卒中患者に対し,同じ関係性を分析し,相関係数0.8を超える強い関係性を示したと報告した(表1)(図1).これらから,コミュニケーションが可能な対象者については,MALは客観性が確保された妥当なアウトカムであることが明らかになった.また,逆説的に,コミュニケーションが困難な対象者については,活動量計で実生活における麻痺手の使用頻度の測定がある程度可能なことが証明された.

 

 

2. 活動量計はCI療法の介入効果に影響を与えるか?

アウトカムとしての活動量計の可能性について上記で示した通りであるが,昨今は活動量計により対象者の麻痺手の使用頻度をモニタリングすることで,より効率よくCI療法の効果を発揮させることを目的とした介入が実施されている.

 

まず,CI療法と活動量計の関係性を示す前に,活動量計によるフィードバック(どの程度麻痺手を使っているかを数値化し理解すること)が,麻痺手の使用行動に与える影響について述べる.Lawrieら3)は,脳卒中後上肢麻痺を呈した対象者に対して,麻痺手に活動量計を装着し,麻痺手の使用頻度が変化するかを観察した.結果,麻痺手の使用頻度は変化せず,単純なフィードバックだけでは,麻痺手の使用行動に影響を与えない可能性が示唆された.さらに,Kanaiら4)は,脳卒中患者に対し,単純にフィードバックを与えた群と,フィードバックに加え,問題解決に関する議論および行動に対する賞賛を与えた群を比較した際に,前者よりも後者の方がより全身活動量に関する行動が変動したと報告している.これらの知見を鑑みると,フィードバックと効果的な療法士からのインタラクションをセットで提供した際に,より効率的な行動変容を導く可能性が示唆されている.

 

さて,では構造的な療法士からのインタラクションを含むCI療法において,活動量計によるモニタリング強化はどのような影響を与えるのであろうか.Dongら5)は,脳性麻痺児73名を対象にCI療法に加えて,麻痺手の活動量がある設定値を下回った際に,アラーム機能でフィードバックを行う活動量計を用いた群(介入群)と,通常のCI療法を実施した群(対照群)について,比較検討を行なった.結果、介入群の方が対照群に比べ,有意な実生活における麻痺手の使用行動の改善を認めたと報告した.この結果から,介入においても,活動量計によるフィードバックは,CI療法のような構造的な療法士のインタラクションを含むアプローチの効率性を向上させることが示唆された. 

 

 

■動画資料

■謝辞

 本コラムはTKBオンラインサロンの森屋崇史氏,甲斐慎介氏,に校正の協力をいただき,発刊しました.心より感謝申し上げます.

 

 

■執筆者

竹林崇 先生
作業療法士
大阪府立大学
地域保健学域 総合リハビリテーション学類

 

 

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■引用文献

1、Hayward KS, Eng JJ, Boyd LA, Lakhani B, Bernhardt J, et al: Exploring the role of accelerometers in the measurement of real world upper-limb use after stroke. Brain Impairment 17(1): 16-33, 2015. 

2、花田恵介,他:脳卒中片麻痺患者を対象とした加速度計(ActiGraph Link GT9X)による上肢活動量計測と活動量可視化の試み−3点計測法の妥当性の検討−作業療法38: 550-558, 2019

3、Lawrie S, et al. Evaluation of a smartwatch-based intervention providing feedback of daily activity within a research-naive stroke ward: a pilot randomised controlled trial. Pilot Feasiblity Stud 4: 157, 2018

4、Kanai M, et al. Effect of accelerometer-based feedback on physical activity in hospitalized patients with ischemic stroke: a randomized controlled trial. Clin Rehabil 32:1047-1056, 2018

5、Dong VA, et al.: ’Remind-to-move’ treatment versus constraint-induced movement therapy for children with hemiplegic cerebral palsy: a randomized controlled trial. Dev Med Child Neural 59: 160-167, 2017

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