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竹林崇先生のコラム

予後予測で用いられる研究デザインとは?(1)−研究を行う上で重要な研究デザインとは?―

UPDATE - 2021.9.15

<抄録>

 リハビリテーション領域において,予後予測は大切なスキルの一つである.リハビリテーション領域における予後予測の研究は年々増加しており,新しい知識を常に更新し続ける事が重要となる.ただし,予後予測関連の論文を参考にする際,結果や結論ありきで,知識を充足するだけでは,いささか不十分と言わざるをえない.最良の学習方法は,予後予測論文にて使用される研究デザインを理解し,論文読者自身が批判的吟味を加えながら,論文の結果や結論を理解する事が求められる.本稿では,リハビリテーションにおける予後予測論文で利用される研究デザインを解説する前段階として,研究デザインについて簡単に解説する事を目的としている.

     

1.研究デザインとは?

 研究とは,ある事柄に対して,実験や介入,観察,調査といった手続きを通して,取得した事実に対して,それまでに得た人間の知識を集結させて考察し,知見を得る一連の過程のことをさす.それらの手続きを進める中で,得たい知見によって,適切な研究デザインの選択が重要になる.時間的な要因や,因果関係の方向性,介入の有無,対照群の設定,割り付けの方法などにより,研究デザインは分別されている.これらのデザインの中から,自身が得たい知見を得るためには,どのデザインが適切かを吟味し,決定していく必要がある.さて,研究によって得たい知見によって,選択するデザインは変わるわけだが,対馬ら1は,研究によって探求したい対象は,1)記述統計・予測(現状の把握),2)判別(診断),3)因果関係に大別されるとしている.ここでいう,記述統計とは,記述的研究と観察的研究デザイン,判別には観察的研究デザイン,因果関係には,観察的研究または実験的研究(介入研究)デザインが採用されるとしている.研究デザインの選択のための思考については図1に示す.

(藤本修平,竹林崇,編,竹林崇: PT, OT, STのための臨床に活かすエビデンスと意思決定の考え方.論文情報を判断するための研究デザイン.観察研究.医学書院,東京, pp23-35, 2020)

     

 さて,では,記述統計・予測,判別,因果関係には,どのような研究が含まれるのであろうか.記述統計・予測は,原因と思われる要因と結果と思われる要因の関係を見るものとされている.この研究形態の場合は,あくまでも関係を見ることが重要なので,その因果関係までは言及されない.次に,判別は,結果として生じた疾患や障害,それらの程度によって明らかとなった階層に対し,影響を与えた因子を探索する研究のことを指す.最後に,因果関係は,前向きに原因と思われる要因から生じた結果の関係性を確認する前向きの研究のことを指す.これらの研究の種別の中で,判別に関する研究が,予後予測研究の主になる.特に,ケースコントロール研究や,後ろ向きコホート研究,横断研究などで,検討されることが多い.ただし,予後予測を目的とした研究ではないが,臨床における予後予測の一端として使用できる研究としては,記述統計・予測,因果関係を求める研究においても存在する.特に,因果関係を調べる研究では,より妥当性の高い因果関係が明らかになっているものもあるため,前向きコホート研究,ランダム化比較試験等も,広く研究を吟味し,結果と要因の因果関係を理解する必要がある.ただし,どんなに高度な研究デザインにおいても,絶対は存在しない.特に,系統誤差,いわゆるバイアスの存在を常に意識し,研究結果を吟味する必要がある.なお,上記にも用語として出現したが,研究デザインにおける「後ろ向き」「前向き」に関する理解には,図2を示しておくので,参考にされたい.

     

<最後に>
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