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竹林崇先生のコラム

COVID-19の蔓延下にて自宅環境におけるロボット療法の新たな形態

UPDATE - 2022.2.11

<抄録>

 2020年の前半にCOVID-19が蔓延し始め,そろそろ2年の月日が経とうとしている.COVID-19は我々の日常生活の基準を一変させ,一般就労においてはリモートワークを一気に押し進め,医療現場では隔離と感染対策を強化する流れを作った.さて,感染対策に追われる医療現場において,隔離が困難な職種として,リハビリテーション職種が挙げられる.リハビリテーションは,医療機関においても特定の人間が長い時間,しかも接触を伴いつつ関わる数少ない場面である.多くのリハビリテーションに従事した病院がこれらの問題について,難渋していた.さて,そのような中で非接触にてリハビリテーションを進めることができるリモートリハやロボット療法などが,一部で注目を集めており,実施もなされていた.本コラムにおいては, COVID-19に感染した患者に対する自宅でのロボット療法を用いたリハビリテーションについて,論述を行う.

     

COVID-19蔓延下において効果的なリモートリハビリテーションを提供するために必要な4つのコンセプトについて

COVID-19に感染し,そこから回復した患者の約32%が,脳卒中を始め,ICUにおける廃用症候群を呈しており,感染後の大きな問題の一つと言われている.1 しかしながら,感染爆発によってもたらされる,COVID-19の医学的介入に対する医療機関の負担は,世界中どこでも大きなものであり,そのリハビリテーションまで十分なリソースを避けていないのが現状である.Sheehyらは,病院スタッフが,感染対策にリソースを割かれることで,通常業務の効率性が著しく損なわれるとも報告している.2 これらのリソース上の問題からも,Andrenelliら3の報告では,ヨーロッパだけでも,COVID-19に感染した後にリハビリテーションが必要な患者は200万人を超えると報告されている.2
 さて,これらの問題を解決するために,多くの公表されている論文においては,手れリハビリテーションのフレームを用いることや,自主練習の重要性を挙げるものが多く,それらを効率的に用いる重要性について論述しているものが多い.ただし多くのリモートリハビリテーションのフレームを用いた論文では,療法士自身が通信機器の前で対象者をモニタリングすることが求められ,これ自体にもリソースがかかることが懸念されている.
 さて,こういった問題点を解決すべく,効果的な上肢の運動障害に対するリハビリテーションをリモート環境にて提供するために,Manjunathaら4は4つの大切な要素について述べている.4つの大切な要素は,1)練習の助けとなるようなデバイス(効果が過去のエビデンスにおいて約束されているハプティックデバイスやロボット)を自宅環境に送付すること,2)対象者がそう努力しなくてもリハビリテーションの成果等を確認することができる仕組みや,繰り返しのロボットからの動機付けによって,長期的かつ持続的なアプローチを可能とするための取り組み,3)医療者による定期的かつ継続的なアセスメントやコンサルテーションの時間を提供する,4)対象者が従来型のリハからリモート環境のリハに適応すること,等が挙げられる.
 さて,1)から4)の具体的な内容に端的に触れていく.1),2),については,クリニックの療法士と自宅の対象者がリアルタイムでインタラクションができるリモートコミュニケーションシステムや,バーチャルリアリティ,更にバーチャルリアリティに併せて,仮想の体性感覚刺激を提供するハプティックロボット等が用いられることが多い.これらのテクノロジーを自宅にて導入することで,単独の練習においても・対象者は体性感覚を伴う,代替えリハビリテーションを実施することで動機付けを絶やさず,かつ遠隔からの継続的な支援を受けることが可能となる.)
加えて,3)については,Motor Activity Log,Action Research Arm Test, Fugl-Meyer Assessment,握力,ハンドヘルド,Nine-Hole Peg Test, Wolf Motor Function Test等の一般的なリハビリテーションにおけるゴールデンスタンダードと呼ばれる手法をリモート環境下で実施することが薦められている.ただし,痙縮の検査であるModified Ashworth Scaleや徒手筋力テストなどは,療法士による接触下でのアセスメントが必要なため,今後,テクノロジーの導入により,新しいアセスメントの開発等が求められる.
 最後に4)について,バーチャルリアリティやロボットといった新しい技術によるリハビリテーションの効果と,従来の療法士が提供するリハビリテーションとのイメージギャップを埋める必要がある.ここについては,エビデンスに関わる情報提供を密に実施しつつ,対象者の希望を照らし合わせ,擦り合わせるShared Decision Makingモデルの導入が望ましいとされている.これらについて,リモート機器を用いたコミュニケーションにおいて,担保することにより,COVID-19によるリモートリハビリテーションによって,対象者が従来法に比べ,不利益を受けていない認識を構築することが重要とされている.

     

引用文献

  1. 1.Hermans, G, et al. (2015). Clinical review: intensive care unit acquired weakness. Crit. Care 19, 1–9. doi: 10.1186/s13054-015-0993-7
  2. 2.Sheehy, L. M. (2020). Considerations for postacute rehabilitation for survivors of COVID-19. JMIR Public Health Surveill. 6:e19462. doi: 10.2196/19462
  3. 3.Andrenelli, E., Negrini, F., De Sire, A., Arienti, C., Patrini, M., Negrini, S., et al. (2020). Systematic rapid living review on rehabilitation needs due to COVID-19: update to May 31st 2020. Eur. J. Phys. Rehabil. Med. 56, 347–353. doi: 10.23736/S1973-9087.20.06329-7
  4. 4.Manjunatha, H, et al. (2021). Upper limb home-based robotic rehabilitation during COVID-19 outbreak. Front Robot, https://doi.org/10.3389/frobt.2021.612834

     

<最後に>
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