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竹林崇先生のコラム

脳卒中後の上肢麻痺を呈した対象者において,Contralaterally Controlled Functional Electrical Stimulation(CCFES)は通常の神経筋電気刺激(Neuromuscular Electrical Stimulation: NMES)と比較し,効果的なのか?

UPDATE - 2022.2.28

<抄録>

 脳卒中後の上肢麻痺に対して,様々な治療法が開発され,エビデンスが確認されている.神経筋電気刺激療法(Neuromuscular Electrical Stimulation therapy(NMES))も臨床で頻繁に使われる手法の一つである.NMESは,電気刺激療法の一つであるが,多くの研究者が様々な刺激方法について,効果を検証している.近年,その中でも,Contralaterally Controlled Functional Stimulation(CCFES)という手法が注目を集めている.本コラムにおいては,従来のNMESに比べ,CCFESの効果の立ち位置について,解説を行う.

     

1. Contralaterally Controlled Functional Electrical Stimulationとは

 脳卒中後の上肢麻痺に対するリハビリテーションにおいて,電気刺激療法は多くの場面で利用されている.アメリカ心臓/脳卒中学会においても,亜急性期において電気刺激療法はわずかな随意性を向上させること,亜脱臼の改善に有効であることが示され,エビデンスレベルもAとされている.これらのエビデンスを構成している多くの電気刺激療法が,神経筋電気刺激(Neuromuscular Electrical Stimulation therapy(NMES))である.NMESは,前もって設定されたオンオフのサイクルで発生させた電気刺激を特定の筋肉に流し,受動的な刺激を提供するアプローチである.また,NMESの使用方法の主流は,発生させた多動的な筋収縮に併せ,残存する随意運動を同時併用することで,より顕著な脳卒中後の麻痺手の機能改善が得られると報告されている1.
 それらの手法に加えて,最近ではContralaterally Controlled Functional Stimulation(CCFES)という手法が台頭してきている.この手法は,麻痺手の刺激したい筋肉(指を伸展させる筋肉を採用している研究が多い)にセンサー電極を貼り付け,センサー電極で得られた筋電をトリガーとして,麻痺手に設置した刺激電極より電気刺激を提供するといった機器である.CCFESはNMESと異なり,麻痺手の随意運動が全くない場合でも,実施可能なことや,麻痺手への刺激のタイミングや強度についても,非麻痺手の意図によって制御できるため,能動的な自主練習として両上肢の練習参加が可能である.
 小規模な臨床研究においては,CCFESは亜急性期の対象者において,通常のアプローチよりも麻痺手の手指機能の改善を認めるといった報告2や,手首および上肢全体の機能改善についても,同様の報告が認められる3, 4.一方,麻痺手の筋力に関する効果については,Motoricity indexを用いた検討がなされているものの,通常のリハビリテーションと比較して,有意な改善は認めなかったと報告している(研究の中では,アウトカムを筋電で実施すれば差が出るかもしれないと限界にて主張している).これらの結果からも,電気刺激療法の中でも,より重度の対象者においても汎用性が高い新たな方法として,注目を集めている.

     

2. CCFESとNMESと比較し,効果的なのか?

 Huangらは,亜急性期の上肢麻痺を有する脳卒中患者50名を対象に,NMESとCCFESの効果を比較するためのランダム化比較試験を実施している.この研究では,1日20分,週5日間,3週間の手首伸筋へのNMESを実施した群と, 同時間,同頻度のCCFESを実施した群に25名ずつの脳卒中患者をランダムに割り付けている.また,この研究では,アウトカムとして,Fugl-Meyer Assessmentの上肢項目,Action Research Arm Test,Barthel Index,表面筋電図を介入前後で取得している.
 3週間の介入結果としては,Fugl-Meyer Assessmentの上肢項目,Action Research Arm Test,Barthel Indexに関しては,両群間に有意な差は認められなかったが,表面筋電図については,NMES群よりもCCFES群の方が有意な伸筋の筋電の増大を認めたと報告している.この結果から,CCFESはNMESよりも,治療対象とした筋肉の随意運動に伴う出力を筋電計で計測できるレベルにおいて,改善させる可能性はあるものの,その効果は一般臨床で用いられるアウトカムに影響を与えるほどではないということが示された.

     

引用文献
1.Knutson J. S., et al. Neuromuscular electrical stimulation for motor restoration in hemiplegia. Physical Medicine and Rehabilitation Clinics of North America . 2015;26(4):729–745. doi: 10.1016/j.pmr.2015.06.002.
2.Knutson J. S., et al. Contralaterally controlled functional electrical stimulation for upper extremity hemiplegia: an early-phase randomized clinical trial in subacute stroke patients. Neurorehabilitation and Neural Repair . 2012;26(3):239–246. doi: 10.1177/1545968311419301.
3.Shen Y., et al. Comparison of the effects of contralaterally controlled functional electrical stimulation and neuromuscular electrical stimulation on upper extremity functions in patients with stroke. CNS & Neurological Disorders Drug Targets
4.Zheng Y., et al. Contralaterally controlled functional electrical stimulation improves wrist dorsiflexion and upper limb function in patients with early-phase stroke: a randomized controlled trial. Journal of Rehabilitation Medicine . 2019;51(2):103–108. doi: 10.2340/16501977-2510
5.Huang S., et al. Effectiveness of Contralaterally Controlled Functional Electrical Stimulation versus Neuromuscular Electrical Stimulation on Upper Limb Motor Functional Recovery in Subacute Stroke Patients: A Randomized Controlled Trial. Neural Plast. 2021: 1987662

     

<最後に>
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