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Motor Activity Logの変化を測るための数値について

UPDATE - 2021.8.26

<抄録>

Motor Activity Logは脳卒中後の上肢麻痺を呈した対象者の日常生活における麻痺手の使用行動を評価するためのアウトカムである.麻痺手の行動評価としては,ゴールドスタンダードの一つと考えられている.ゴールドスタンダードの評価は,評価そのものに対する検討が非常に多くなされており,変化の数値を解釈するための指標についても多く検討がなされている.今回は,Motor Activity Logに関わる指標の中でも,Minimal Clinical Important Difference,Minimal Detected Change,について解説と具体的な数値を上げていくことを考えている.事例まとめ等を通した,臨床の一助となれば幸いである.

     

1.Motor Activity Logについて

 Motor Activity Logは,Taubらのグループに所属によって開発された脳卒中後の上肢麻痺の実生活における麻痺手の使用行動を評価するために特化したアウトカムである.この評価が登場するまで,Functional Independence measureなどで無理やり,麻痺手に関わる日常生活活動の状況を測る研究などが多い中で,麻痺手に特化した日常生活活動評価の登場は革新的であった.Motor Activity Logは,日常生活における麻痺手の使用頻度を測定するAOUと,対象者の主観の麻痺手の使いやすさを測定するQOMの2つの尺度から構成されている

     

2.Minimal Detected Change

 臨床において,対象者の方にリハビリテーションアプローチを行う.その際に,多くの一般的な療法士は,自分が施したリハビリテーションアプローチの効果検証を実施するだろう.その際に,リハビリテーションアプローチの前後で,同じアウトカムによって,その変化について,検討を行うことが考えられる.その際に生じた差が,果たして『生物学的な個体差(変化)』なのか,それとも偶発的に生じた『誤差』なのか,判断が難しいことがある.これらを判断する際に便利な指標となるのが, 尺度測定の標準誤差(Standard error of measurement: SEM)や最小可検変化量(Minimal detected change: MDC)といったものがある.MDCは,一般的に対象となるアウトカムを何度も繰り返し,同じ検査者が,同じ状態にある対象者から採取することで生じる測定の変化量の誤差を示すものであり,その95%信頼区間を示したものが,MDC95として,一般的に用いられている1.また,SEMは,MDC95を求める際に必要な数値の一つであり(MDC95=SEM×1.96×√2),絶対信頼性を求めるために必要な指標であると言える.

     

3.Minimal Clinical Important Difference

 MCIDとは,Jaeschkeら2が提唱した概念であり,患者立脚型質問評価(Patient reported putcome: PRO)において,臨床における対象者の変化が有益であると解釈できる最小の変化量を示している.例えば,脳卒中後の上肢麻痺におけるPROは,Fugl-Meyer Assessmentの上肢項目のような客観評価ではなく,例えば,麻痺手を用いた活動レベルにおける指標の一つとなるMotor Activity Log(MAL)や,カナダ作業遂行測定(Canadian occupational performance measure: COPM),機能的自立度評価表(Functional Independence Measure: FIM)などを差し,そのアウトカムにおける意味を持つ最小の変化量をMCIDと理解できる).MCIDの算出方法としては,1)上記にあげたPROをアンカーとして,それに応じた変化を算出する方法,2)PROの分布から統計学的な手法を用いて算出する方法(広義では,この中にMDCやSEMが含まれる場合がある),3)PROにおける変化を専門家が主観で数値決定する場合,の大きく3つに分けられる.従って,算出されたMCIDがどのような算出方法がなされたのかを理解して置く必要もある.

     

4.Motor Activity Logにおける実際のMCID, MDCの値

 以下に代表的な論文に記載されているMotor Activity LogのMCIDおよびMDCについて記載する.基本的に,PROに分類されるMotor Activity Logはこの評価そのものがアンカーとしての役割を果たすため,MCIDの探索においても統計的な手法を用いて算出するMDCに方法論が偏っているのが特徴である.従って,MDCに方法論が偏っているため,求められる数値もかなり近いものが多いことがわかる.

引用文献

  1. 1.Faber MJ, et al: Clinical properties of the performance-oriented mobility assessment. Phys Ther 86: 944-954, 2006
  2. 2.Jaeschke R, et al: Measurement of health status. Accertaining the minimal clinically important difference. Control Clin Trial 10: 407-415, 1989

     

<最後に>

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⇨認知神経リハビリテーションの理論と実際を解説し、上肢機能や生活行為に関わる認知過程を観察する視点や介入する手続きについて理解を深める
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 1,注意障害–総論から介入におけるIoTの活用まで–
 2,失認–総論から評価・介入まで–
 3,高次脳機能障害における社会生活支援と就労支援
  –医療機関における評価と介入-
 4,高次脳機能障害における就労支援
  –制度とサービスによる支援・職場の問題と連携–
 5,失行
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